エンゲージした組織を作るポジティブ心理学

日本のビジネスシーンでも、耳にする機会が増えてきた“ポジティ
ブ心理学”。この考え方が、成果を生み出すエンゲージした組織や、
組織を作る才能マネージメントと密接な関係があります。ポジテ
ィブ心理学の考え方と、それを利用したマネージメントについて解説します。

ポジティブ心理学とは

ポジティブ心理学とは、1990年代に人のポジティブな面を重視する新たな
学問として誕生したものです。それまでの心理学と異なる点は、健常な精神状態の人がさらに高いパフォーマンスを発揮するための心理学であるという点です。
 ネガティブな思考は、時に希望を奪ってしまうことがあります。戦時下の独裁国家では、捕虜に対してネガティブ思考を利用して、人間関係から得られる心の支えを奪うといったことが行われていたほどです。しかし、こうしたことと反対のことを行うことで、人に活力を与え、高いパフォーマンスを引き出すことができるのです。

心理学者のフレデリクソンは、ポジティブな感情の効用として、以下の4つをあげています。

  • 活力を与え、人を元気にする
  • 視野を広げ、自分とは違う考え方や行動に気付かせてくれる
  • 組織や個人が持っている力を引き出す
  • リーダーがポジティブな感情を積極的に示したときは、チームの成果を高める

ポジティブ心理学のフロー理論

ポジティブ心理学では、特定の作業に没頭し、その作業といわば一体感を
感じているような状態を“フロー”といい、この状態の時にピーク・エクス
ペリエンス(至高体験)とピーク・パフォーマンス(至高行動)を体験します。
例えば、手術中の外科医が、2時間の手術を15分に感じたり、100m走者が、時間が引き伸ばされたように感じるようなとき、フロー状態にあるといえます。
 意外なことに、家庭での娯楽や趣味より、仕事における活動の方がフロー状態に入りやすいことがわかっています。困難な状況に向けて、チャレンジとスキルをバランスよく織り込まれた状態でこそ、集中力が高まりフロー状態に入りやすくなるのです。娯楽のような“喜び”ではなく、登山家が吹きさらしの尾根で感じる興奮のような、厳しさや困難さを伴う“楽しみ”こそが、フロー状態に導く源泉なのです。

フローとエンゲージメント

ギャラップが提唱する、職場や仕事に“エンゲージ”した状態、つまり感
情的に強く結びつく状態は、フロー状態と密接な関係にあります。
仕事の上で厳しさを伴う“楽しみ”を見出し、高いパフォーマンスを実現す
るフロー状態に入ると、社員は職場や仕事と感情的に結びつく=エンゲージします。仕事や職場とエンゲージした社員は、顧客と感情的に結びつく=エンゲージすることが可能です。そして顧客とエンゲージすることで、初めて成果を上げることができるのです。

ですから、マネージャーは部下がフロー状態に入りやすい環境を作り、部下が仕事や顧客とエンゲージしている組織を作ることが、重要な役目となるのです。

マネジャーの役割 -フローに入りやすい環境作り

マネジャーが、部下をフロー状態に入りやすい環境を作るためにはどう
すればよいのでしょうか。ポジティブ心理学において重要な存在であるチクセントミハイによると、具体的には、以下が重要になります。

  • 目標を明確にする
  • 常にフィードバックを与える
  • チャレンジとスキルのバランスを調整する
  • 部下自身に仕事をコントロールしていると実感させる

マネージャーは、部下に少し高いチャレンジを与えながら、スキルとチャレンジのバランスを見る必要があります。スキルとチャレンジがともに高く、バランスが取れているときにフローが起こり、その時に人は楽しみを感じて成長するのです。

ストレングス・ファインダーによる才能マネージメント

マネジャーが部下のスキルとチャレンジのバランスを取るためには、
部下のスキルや個性、才能がどのようなものであるのかを理解し、それを踏まえた期待値を明確にしなければなりません。こうしたことを、かつてのマネージャーは人を見る目、つまり観察によって行っていました。
 しかし、多様化が進む現在ではビジネス環境の変化によりマネージャー自身が多忙になり過ぎていることや、マネージャー自身への多様性を活かすための教育が十分になされていないことなどから、観察だけでは部下の才能を見極めることが難しい状況になっています。

そこで才能発見ツール『ストレングス・ファインダー』を活用することで、部下の才能を明らかにすることができます。『ストレングス・ファインダー』は、もともとポジティブ心理学に基づいたツールとして開発されたもので、5000以上の組織、100万人以上の個人がアセスメントを受けた実績があります。
『ストレングス・ファインダー』を活用し、才能を活かしたマネージメントを実践することで部下は仕事や組織、顧客とエンゲージし、最終的には成果を上げる組織作りが可能となります。ポジティブ心理学を活用し、エンゲージした組織を作ることができるのです。

(文責:一般社団法人日本エンゲージメント協会代表理事/ユーダイモニアマネジメント株式会社代表取締役 小屋 一雄)