社員の生産性を高める「ワーク・エンゲージメント」とは

エンゲージメント仕事に対してポジティブなエネルギーを与えます。ワーク・エンゲージメント(Word engagement)について定義、測り方、活用方法などについて解説します。

エンゲージメントの意味

エンゲージメントを意味を理解するために、まず英語engagementの語源から確認します。

engagement[en・gage・ment]. [ingéidʒmənt][名]
1 (…との)婚約((to …))
break (off) one‘s engagement 婚約を解消する
2 (文書または口頭による正式な)約束, 契約;(面会・会合などの)(人との)約束((with …));誓約;[U]用事, 用務
a previous [prior]engagement 先約
3 [U][C]雇用(契約);雇用期間;職, 仕事, 勤め口
an engagement as leading lady 主演女優としての契約.
4 (敵軍との)交戦, 戦闘((with …)). ▼battleより改まった言い方
(Disengagement=撤退)
a naval engagement 海戦
5 [U](歯車などの)かみ合い.
6 ((〜s))債務, 負債
meet one’s engagements 債務を果たす.

「プログレッシブ英和中辞典」より

ワーク・エンゲージメントの定義

ワーク・エンゲージメントは、組織行動論研修者のウィリアム・カーンと組織心理学者のウィルマー・B・シャウフェリに起源があります。

ウイリアム・カーンの定義

1990年、組織行動論研究者のウイリアム・カーン(William Kahn)が、ワークエンゲージメントを概念化した。

“Psychological Conditions of Personal Engagement and Disengagement at Work”

「エンゲージメントすると、人は肉体的、認知的、感情的に専心するとともに役割の中で自己表現する」仕事上の役割に対し肉体的、認知的、感情的に没頭している状況をエンゲージメントとした。

ウィルマー・B・シャウフェリの定義

2004年、オランダ・ユトレヒト大学の組織心理学者ウィルマー・B・シャウフェリ(Wilmar B.Schaufeli)教授が提唱しました。

シャウフェリは、ワーク・エンゲージメントを次のように定義しています。

「ワーク・エンゲージメントは、仕事に関するポジティブで充実した心理状態であり、活力、熱意、没頭によって特徴づけられる。そのエンゲージメントは、特定の対象、出来事、個人、行動などに向けられた一時的な状態ではなく、仕事に向けられた持続的かつ全般的な感情と認知である」

(Wikipediaより)

日本エンゲージメント協会の定義

日本エンゲージメント協会のワーク・エンゲージメント定義は次のようになります。

「仕事を自分事と感じ、楽しみ、組織に貢献しようとする自発的な姿勢・行動」

ワーク・エンゲージメントの尺度

ワーク・エンゲージメントはどのように計るのでしょうか。

ウィルマー・B・シャウフェリらは「ユトレヒト・ワーク・エンゲイジメント尺度(Utrecht Work Engagement Scale=UWES)」を提唱しています。

ユトレヒト・ワーク・エンゲイジメント尺度は、仕事に積極的に向かい活力を得ている状態を評価するための尺度です。

ユトレヒト・ワーク・エンゲイジメントの調査票

尺度を測るためのツールとして、17項目版、9項目版、3項目版の3種類の調査票があります。

ワーク・エンゲージメントは、活力(Vigor)、熱意(Dedication)、没頭(Absorption)の3つの要素で構成されます。調査票の質問は3つの要素のどれかに該当します。

  • 活力:仕事をしていると、活力がみなぎるように感じる(6/3/1項目)
  • 熱意:仕事に熱心である(5/3/1項目)
  • 没頭:私は仕事にのめり込んでいる(6/3/1項目)

ワーク・エンゲージメントの位置づけ

ワーク・エンゲージメントと関連する概念の位置づけを示したのが次の図です。

ワーク・エンゲージメントの位置づけ

横軸は「仕事への態度・認知」、縦軸は「活動水準」となります。

ワーク・エンゲージメント関連概念の意味

ワーク・エンゲージメントに対して、ワーカホリズム、バーンアウト、リラックスはどんな位置づけになるでしょうか。それぞれ説明します。

ワーカホリズム(活動水準高、不快)

活動水準が高いものの不快な状態で働いているのが「ワーカホリズム」です。シャウフェリは、ワーカホリズムを次のように定義しています。

「強迫的かつ過度に一生懸命働く傾向」

ワーカホリズムは、働き過ぎ(行動的な側面)と脅迫的な働き方(認知的な側面)の2つの下位概念で整理されます。

ワーカホリズムは「仕事に多くのエネルギーを費やす」「一生懸命に働く」という行動面では「ワーク・エンゲージメント」と共通しています。しかし、「ワーカホリズム」の傾向を持つ人は心身の疲労につながりやすく、心的ストレスがたまると「バーンアウト」になる可能性があります。

バーンアウト(活動水準低、不快)

「ワーク・エンゲージメント」の対概念が「バーンアウト」です。バーンアウトは、仕事に過度にエネルギー費やした結果、心身が疲労した状態です。抑うつ状態になることもあります。バーンアウトでは、活動水準が極度に低下します。ワーカホリズムは、一歩間違えるとバーンアウトになる危険を孕んでいます。

リラックス(活動水準低、快)

「リラックス」は、従業員が快適ではあるが、業務の活動水準が低い状態です。この定義では、リラックス状態の従業員は、企業貢献度が低いことになります。

ワーク・エンゲイジメントとワーカホリズム

ワークエンゲージメント、ワーカホリズムとアウトカムの相関関係を次の図に示します。

ワークエンゲージメント、ワーカホリズムとアウトカムの関連

アウトカムとの相関

  • 「不健康」:ワーカホリズムは正の相関があるのに対して、ワーク・エンゲイジメントは負の相関にある
  • 「生活満足感」:ワーカホリズムは負の相関があるのに対して、ワーク・エンゲイジメントは正の相関にある
  • 「仕事のパフォーマンス」:ワーカホリズムは負の相関があるのに対して、ワーク・エンゲイジメントは正の相関にある

ワークエンゲージメントとワーカホリズムの相関

ワーク・エンゲイジメントとワーカホリズムには、弱い正の相関がある。

ワーク・エンゲイジメントが高い労働者が、ワーカホリックな労働者に転換しないようにマネジメントすることが重要となる。

※ 平成30年度労働経済白書より

日本企業のワーク・エンゲージメント

日本企業のワークエンゲージメントの現状はどのようになっているでしょうか。調査結果を引用します。

米ギャラップが世界各国の企業を対象に実施した従業員のエンゲージメント(仕事への熱意度)調査によると、日本は「熱意あふれる社員」の割合が6%しかないことが分かった。
米国の32%と比べて大幅に低く、調査した139カ国中132位と最下位クラスだった。
企業内に諸問題を生む「周囲に不満をまき散らしている無気力な社員」の割合は24%、「やる気のない社員」は70%に達した。

日経新聞(2017年5月26日版)より

退職理由の「本音」ランキング】
1位:上司の仕事の仕方が気に入らなかった
2位:労働時間・環境が不満だった
3位:同僚・先輩・後輩とうまくいかなかった

リクナビ調べ

社員の生産性とワーク・エンゲージメント

生産性と職場風土・エンゲージメント

「高い生産性・成果を出す職場」と「出さない職場」の違いはどこから生まれるか?
職場の生産性・成果は、「職場風土・エンゲージメント」と強い関係がある

職場風土には何が影響を与えているか?
職場風土、「リーダー・マネジャー」の言動と強い関係がある

ウィルソンラーニング調査より

社員がエンゲージしていると

  • 100%心理的に仕事に取り組んでいます。
  • 自分の仕事の範囲を知っており、成果を達成するための新しくより良い方法を模索しています。
  • 生産性が向上します。
  • 業務の効率性が向上します。
  • 安全性が向上します。

「エンゲージメントしている従業員」と「満足している従業員」

エンゲージしている従業員熱意を持って仕事をする
継続的に高いレベルのパフォーマ
ンスを発揮する
革新を推進し、組織を前に進める
満足している従業員生産性が高い場合とそうでない場合
がある
仕事に時間は費やしているが、必ず
しもエネルギーを費やしてはいない
様子を見て指示を待つ態度を取る

エンゲージメントと業績の相関

エンゲージメントと重要な業績には、強い関連性があります。

  • 常習的欠勤が41%減少
  • 安全に関する事故が70%減少
  • 離職率が59%減少
  • 顧客満足度が10%向上
  • 生産性が17%向上

※ ギャラップ社による分析